法人保険の活用
法人保険の活用法をカンタンに列挙。メモです。
(メモなので、今回は「思っています」が多くなるかも)
項目
1. 一般的な活用法
2. 法人から個人への財産移転:MHP
3. 法人から個人への財産移転:GHT
4. 法人から個人への財産移転:掛捨て死亡保険
5. 役員貸付金を清算
6. 出口あれこれ
7. 備忘メモ
1. 一般的な活用法
いわゆる
・長期平準定期保険
・逓増定期保険
などで、法人が支払った事業年度に「全額損金」「2分の1損金」などで費用化し、
ピーク時前後で解約するときに雑収入として受け入れる流れです。
緊急的に損金を作りたい!
掛捨てではなく、返戻金のあるタイプがいい!
などのニーズに応えるものです。
さほど保険商品、保険税務に詳しくない方でも、このあたりは聞いたことがあると思います。
2. 法人から個人への財産移転:MHP
カンタンに言えば、契約を満期前に法人→個人と切り替え、
・法人で支払保険料、雑損失を損金に
・個人では受取満期保険金を一時所得に
することで、税務メリットを法人個人で最大限取っていくというスキームです。
『役員報酬等で法人から個人に財産移転させるよりもお得』という比較を行ってみたいと思います。
年数 | 負担者 | 保険料 | 解約返戻金 |
1年目 | 法人 | 1,000万円 | |
2年目 | 法人 | 1,000万円 | |
3年目 | 法人 | 1,000万円 | |
4年目 | 法人 | 1,000万円 | 520万円 |
5年目 | 個人 | 1,000万円 | 4,750万円 |
この保険が2分の1損金だとすれば、
法人の4年間Totalの損金は、
4,000万×50% + 4,000万×50%△520万 = 3,480万
です。法人税率を30%とすると、
520万 △4,000万 + 3,480万×30% = △2,436万
のキャッシュアウトです。
一方、個人の所得税・住民税率を50%(40+10%)と仮定すると、税額は、
{4,750万 △(520万+1,000万)△50万}×1/2×45% = 795万
つまり、キャッシュインは、
4,750万 △(1,000万+520万+795万) = +2,435万
となります。
ちなみに、キャッシュフローは、各自次のようになります。
法人 | △2,436万円 |
個人 | +2,435万円 |
税務署 | △249万円 |
保険会社 | +250万円 |
法人個人間では、△1万円でしかありませんが、役員報酬で財産移転させる場合と比較するとどうなるでしょうか。
役員報酬での財産移転(税率50%)(給与所得控除は考慮外)
法人 | キャッシュアウト {△5,000万円×(1-30%)} |
△3,500万円 |
個人 | キャッシュイン {5,000万円×(1-50%)} |
+2,500万円 |
税務署 | キャッシュイン (△5,000万円×30%+5,000万円×50%) |
+1,000万円 |
となります。移転コストを1,000万負担することになります。
個人の手残りを約2,500万で比較したところですが、
移転コストに999万円の差が出ています。
つまり、この移転スキームに効果があるということです。
(※仮定の計算です。効果の保証ではありません。返戻率、税率、金額などで結果は変わります。)
関連・追記:保険金の支払調書が2018年1月1日から変わります。(平成27年度税制改正より)
3. 法人から個人への財産移転:GHT
逆ハーフタックスプランというものです。
最高裁判例が平成24年1月に出ているので、節税効果は半減しているはず。
実際の効果の額は、どうなんでしょう。
4. 法人から個人への財産移転:掛捨て死亡保険
掛捨ての死亡保険の法人契約を、個人へ切り替えるというものです。
保険の価値は、解約返戻金相当額ですので、掛捨て保険だと0円です。
これは、保険料の支払いについての法人の効果と、個人の効果の差から出てくるものかと。
・法人 → 損金(掛捨ての場合)
・個人 → 所得控除(最大5万円)
ある書籍では、被保険者の相続人に契約を移転していましたので、
相続人は、一時所得として課税されていました。
相続人個人の保険料負担期間がまったくのゼロとした場合でも、
税率50%とすると、約25%の負担率で保険金が取得できるという流れ。
効果は、被相続人(かつ被保険者)の死亡時期にもよるのかなと。
死亡直前に移転させて、過度な租税回避をしていると指摘されるなどのリスクは不明。
5. 役員貸付金を清算
法人から見た役員貸付金を決算書上で消してしまおうというものです。
個人の返済がなくなる訳ではないです。
(返済先が、当該法人からノンバンクへ変わるものです)
流れとしては、
①ノンバンクへ役員貸付金を譲渡
②ノンバンクから法人へ譲渡代金の支払
③法人が保険加入
④保険証券を担保に、ノンバンクが質権設定
⑤保険会社からノンバンクに保険証券を発送
⑥役員個人からノンバンクへ返済していく
上記②の段階で、決算書から役員貸付金a/cが消滅します。
やったこと無いですね。
書籍では、「銀行から法人に提案することがある」とのことです。
つまり、借りたい中小企業では、難しいのではないかと。
6. 出口あれこれ
・月別返戻率を確認する(年別返戻率ではなく)
・解約返戻金で再度、保険加入する
・勇退退職金
・設備投資で減価償却費へ(特別償却など活用)
・分割して解約
・人件費(賞与、ベースアップなど)
・大規模修繕
7. 備忘メモ
・保険を活用した資産移転は、金額の試算が容易
・払済保険にした場合には、解約返戻金相当額の処理は不要
・自社株買取の資金として、法人保険を活用する
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