法人税法上の圧縮記帳と積立金方式
投稿が1年間隔になってしまい、申し訳ありません。
実務で、圧縮記帳について調べることがあり、疑問点を少し残そうかと。
大学教授と思われる方の、紀要の論文に、ネット検索でヒットしました。
内容的には、既存の積立金方式の不備を問うものでした。
その中で、僕には理解できない部分があり、この方の理解不足ではないかと邪推した次第です。
いや、僕より大いに偉い教授先生ですので、そんなハズは無いのですが、何度読んでも理解できなかった。
論文のURLを貼付するのが、いいのか悪いのかが分からないので、引用とします。
法人税法圧縮記帳の積立方の法的不備:河野惟隆
P.31の最終段落
積立方の場合は、定義によって、取得価額は減額しないので、償却限度額は、この取得価額、ならびにその後の、取得価額から償却限度額を控除した後の、いわゆる改訂取得価額、それぞれに償却率を乗じた金額であるが、上記の償却超過額は、少なくとも、この償却限度額を超過する金額でない、ことは確かである。
定義によって、取得価額は減額しない。
これは、会計上の話なのか。
それとも、税務上の話なのか。
このあたりがぼやけて見える。
税務上は、施行令80条の2「国庫補助金等で取得した固定資産等の取得価額」の①項より、
取得価額に算入しないのは、明らかです。
会計上は、取得価額から減額しないのは、明らかです。
それこそが、積立金方式の目的だから。
河野教授の論は、この「取得価額を減額しない」が、基軸になっているように読めます。
いや、何度読んでも読みにくい文章ではあるのですが。
そこを出発点にしてしまったが故に、償却超過額は無いだの、認容は不要だのという結論になってしまうのかと。
会計上の取得価額 > 税務上の取得価額
会計上の減価償却費 > 税務上の償却限度額
この関係は、明らかの様に理解しています。
であれば、償却超過額の発生も自然。調整弁としての通達10-1-3の認容減算もテクニックとして許容。
これが、積立金方式の、現在のスタイルではないかと思います。
このスタイル自体が、ナンセンスだ。その指摘に止まらない論の様に思え、その起点が「取得価額は減額しない」の曖昧さではないかと思うのです。もう少し、税務上の処理と会計上の処理に焦点を当てて、論じてもらえれば、読みやすくなったかもしれない。どこまでいっても、「それで、いまは税務上会計上どちらのことを論じているのでしょうか」となってしまった。
いや、恐れ多いのですが。備忘メモとして。