改正・備忘(所得税の配偶者控除に関する用語の定義)

こんにちは。
最近12月でも暖かい日が続き、嬉しい限りです。
先日は気温25℃にもなったみたいで、このまま常春の九州にならないかな。

さて、そろそろ年末調整の時期に突入です。
平成30年(2018年)からは、配偶者控除について改正が入っています。
用語の定義が追加変更されていますので、その点を残しておこうと思います。

1. 大分類

用語の定義を大分類します。

・同一生計配偶者
・控除対象配偶者
・源泉控除対象配偶者

ですね。
それぞれを見ていきますが、「どんなときに使われる用語なのか」も併せて確認したいと思います。

2. 同一生計配偶者

定義

その居住者と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が38万円以下の人をいう。

つまり、
・民法上の配偶者(内縁関係である者は除外)
・生計一
・合計所得金額が38万円以下(※給与収入に換算すると年収103万円以下)
・青色事業専従者で給与支払を受けたもの、白色事業専従者は除く(※これは以下同じ、かつ省略します。)
を満たす者を指します。

実務上の登場場面

安心してください、ほとんど登場しません。

【確定申告する人】
障害者控除の要件チェックの際に登場します。

【会社の年末調整担当者】
扶養控除等申告書の障害者の欄にだけ登場します。

【年末調整を会社にしてもらう人】
扶養控除等申告書を記入作成していく中で、障害者控除を受けるときに意識してください。

3. 控除対象配偶者

定義

同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円いかの居住者の配偶者をいいます。

登場場面

【確定申告する人】
配偶者控除を受けようとするときに、意識してください。
改正により、配偶者控除を受ける本人の所得制限が設けられました。
(900万円超の所得から低減。1,000万円超で適用不可)

【会社の年末調整担当者】
同上。
実務としては、今回の年末調整から本人からの提出書類として「給与所得者の配偶者控除等申告書」が新しく設けられました。
・本人の合計所得金額の見積額
・配偶者の合計所得金額の見積額
を記載してもらい、配偶者控除の対象となるか?配偶者特別控除の対象となるか?を確認していきます。

慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

【年末調整を会社にしてもらう人】
「給与所得者の配偶者控除等申告書」を記入作成する必要があります。
余談ですが、個人的には上から順番に書いていく方式ではないので、記入作成する者にとっては優しくない様式と感じます。
年に1回なので、来年また『なんだったっけコレ』となるでしょう。

4. 源泉控除対象配偶者

定義

合計所得金額が900万円以下である居住者と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が85万円以下の人をいいます。

登場場面

【確定申告する人】
登場しません。
まったく気にしなくてOKです。

【会社の年末調整担当者】
年末調整担当者ではなく、給与計算担当者なのですが便宜上同じワードでいきます。
源泉控除対象配偶者は、年末調整の時ではなく毎月の源泉徴収税額の計算の時に必要となる概念です。
合計所得金額が85万円以下と設定されているのは、配偶者特別控除でも、この金額までは配偶者控除と同じ控除額になるからです。

扶養控除等申告書に記入箇所があるのですが、どちらかというと、提出する人がキチンと理解して記入しているかの方が大事な気がします。
そのあたりのフォローアップが仕事の勘所になるでしょう。

【年末調整を会社にしてもらう人】
毎年初めに会社に提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」に記入欄があります。
まあ、記載しなかったとしても、年末調整のときに修正情報を会社に報告すれば、間に合うはずです。
逆に、年末調整の際に配偶者控除を受けられないのに、記入してしまうと、還付ではなく不足になる可能性が高いです。
そうなると、お父さんの年末の飲み代が少なくなってしまうので、コチラの間違いは避けましょう。

5. まとめてみた

改正前(平成29年以前)も、配偶者控除の間違いがあって、実際の納税負担額より少ない金額で計算していると、税務署などから指摘がありました。
指摘があると、
・会社は追徴税額を納付
・従業員個人は会社へ同額を支払う
という不幸の連鎖が起きます。

この流れ自体は変わらないですけども、配偶者控除の定義が変わりましたので、一時的に少しだけ上記の例が増えるかもしれません。

各定義の関係

A=同一生計配偶者
B=控除対象配偶者
C=源泉控除対象配偶者

【A⊂B】
特にいうことはありません。
配偶者控除を受けられなくても、障害者控除を受けられるパターンがあるということです。(Aのみ満たす場合)

【A∩C】
配偶者が障害者の場合には、障害者控除も受けられますし、源泉徴収の対象ともなります。
また、配偶者控除も満額受けられます。

【C - A∩C】
障害者控除は受けられませんが、配偶者特別控除の適用があります。

【B∩C】
最も狭い範囲ですが、すべての対象となります。
障害者控除、配偶者控除、源泉徴収の際のカウント、すべてに該当します。
なお、パートの奥様がいる夫は、だいたいココに該当すると思われます。
(配偶者控除は勿論不可です)

【B - B∩C】
配偶者控除は受けられるが、控除金額の逓減範囲にある人です。

【C - B∩C】
配偶者控除の適用は受けられません。
配偶者特別控除の適用は受けられます。

 

こんな感じでしょうか。
読む人にとっては「?」かもしれません。
作業する僕にとっては、頭の中を整理できて良かったです。

 

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