市街地農地と造成費
先日、市街地農地の評価のお手伝いの機会がありました。
市街地農地の相続税評価額の算定方法は、次のAからBを控除した金額にその農地の地積を乗じて算出します。
A その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額
B その農地を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額
通常、地積は明確です。
また、路線価等だと、Aも明確です。
しかし、Bはどの書類上も金額がありません。したがって、現地に行って計測した上で算定するしかないのです。
(※実際は市の固定資産税評価額上は数字があったりましすが、相続税評価額に流用できるかどうかは不明瞭です)
1. 実際に現地に行ってみた
こんな風に整地面積や地盤改良面積の算出のために辺長を測ってみたり、
土盛りや土止めの体積面積算出のための高さを測ってみたり、
現地に行かないとわからない項目を列挙して、準備して、その項目の情報を得て帰路につきました。
2. 造成費相当額の算定
辺長、高さなどを現地で測ればあとは計算を進めるだけです。
このあたりの項目と金額は、国税庁HPから印刷できます。
福岡県(平成30年度)だと、
http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h30/fukuoka/fukuoka/others/j110300.htm
になります。
傾斜地などの要素があれば、更に織り込んで計算を進めますが、今回は平らな土地でした。
これで、市街地農地の評価を完了することができるはずです。
3. 余談(税理士試験のハナシ)
自分は相続税法を2回受けて、1勝1敗でした。
その1敗の年の「計算問題」で、この市街地農地の評価が出されました。
受験生の大半が実務でしかお目にかかることのないこの論点に面食らったはずです。
そして案の定、ほとんどの受験生がこの論点を落としていました。
僕は受験直前の実務で、この論点を取り扱っていましたので、他の受験生より有利だったのですが、落ちてしまいました。残念。
(※やればわかりますが、造成費相当額の計算はとても合理的なので、計算自体は凄く簡単です)
そして1勝となった次の年、またもやこの論点が出されてしまいました。
これまで一度も税理士試験で出されなかった論点が、2年連続です。
いかに、一年目でみなさんが不出来だったかということですね。
税理士試験の受験生のみなさん、仕事は実務・試験は勉強、と分けずに考えた方がイイこともあるかもしれません。
4. 追記
追記(2019.3.26)
土止めと根入れについて。
土止めとは、いわゆる擁壁を指します。
国税局資料では、この擁壁の1㎡当たりの単価に、面積を乗じて造成費計算に乗せろ、という流れになっています。
要するに、土止めの面積が大きいほど、土地の評価は下がります。
聞いただけの話で申し訳ないのですが、知識というよりは、情報として。
土止めの面積は、 高さ × 横幅 などで計算していきます。この高さですが、地上0mまででしょうか?
通常、擁壁は地中にも作られるようです。これを「根入れ」というそうです。
擁壁の高さは、この根入れ部分も考慮すべきでは?
実際に、機会があれば、現場従事経験者の方に確認してみようと思います。
聞いた話ですが、擁壁の地上部分の高さの3分の1の根入れは、十分に考えられるとのことです。
各自、自己責任でお願いします。